補助金を食いものに?自殺対策NPO「再チャレンジ東京」虚偽申請、3800万円返還されず破産 後継団体が再チャレンジ

東京都の自殺対策事業をめぐり、NPO法人「再チャレンジ東京」が架空の領収書や水増しした活動実績で補助金を不正受給していたとして、都が約3779万円の返還を請求した。法人は解散・破産手続きに入り返還されておらず、実質的な後継団体が同様の事業を継続しているという。

Photo: 東京都の補助事業で“架空請求”3800万円が未返還 NPO団体はすでに解散(東京MX)
この記事のポイント
  • NPO法人「再チャレンジ東京」が2018~2024年度に虚偽の実績などで補助金を申請
  • 東京都は約4893万円の交付決定を取り消し、交付済み約3779万円の返還を請求
  • 法人は返還請求後に破産手続きの開始決定を受け、2025年10月に解散
  • 都によると、実質的な後継団体が同様の事業を継続しており、再発防止策が課題となっている
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自殺対策事業で何が起きたのか

東京都が補助する自殺対策事業をめぐり、新宿区の特定非営利活動法人「再チャレンジ東京」が、架空の領収書や虚偽の活動実績などを用いて補助金を受けていたことが分かりました。

東京都は2026年8月24日、2018年度から2024年度までの補助金約4893万円について交付決定を取り消し、すでに交付していた約3779万円の返還を請求したと発表しました。

領収書の偽造や相談窓口の実績水増し

東京都などによると、不正があったのは、都民の自殺防止を目的としたイベントや相談窓口の運営などに取り組む民間団体を対象とする補助事業です。

「再チャレンジ東京」は、資料が残る2018年度から2024年度にかけて、学校での授業や作文コンクールに関わる派遣講師、審査員らへの謝礼について、実際より金額を多くした領収書を東京都に提出していたとされています。授業や対面相談の名目で、架空の人件費なども計上していたということです。

東京都が補助金約4893万円の交付決定を取り消し

東京都は、虚偽の実績などに基づく補助金交付申請があったとして、同法人に対する補助金の交付決定を取り消しました。

取消額は48,939,000円で、すでに交付されていた37,793,000円について返還を請求しています。金額にして約3800万円に上る公費の返還が求められる事態となりました。

領収書の偽造は5社33人分

東京都などによると、不正は単発ではなく、複数年度にわたって行われていたとされています。

報道によると、領収書の偽造だけでも5社33人分に上ったといい、講師や審査員への謝礼を水増ししたほか、実際には行われていない対面相談などについても実績として計上されていたとされています。

不正はいつ、どのように発覚したのか

問題が表面化するきっかけとなったのは、東京都による現地確認でした。

2025年1月に東京都が同法人の活動について現地確認を行った際、関係者から聞き取った内容と、過去に提出されていた実績報告との間に違いがあることが判明したとされています。その後、東京都が調査を進め、不正な補助金申請が明らかになりました。

理事長「事業の赤字が生じないように不正をした」

東京都の調査に対し、当時の理事長は、不正を行った理由について「事業の赤字が生じないように不正をした」などと説明したとされています。

ただ、自殺対策事業の補助金は公費で賄われており、事業収支の赤字を理由として虚偽申請や不正受給が認められるものではありません。今回の問題では、補助金を適正に使用するための確認体制も問われることになります。

約3800万円は返還されるのか

東京都はすでに交付した約3779万円について返還を請求していますが、現時点で返還の見込みは立っていません。

同法人は返還請求後に破産手続きの開始決定を受け、その後、2025年10月29日に解散しています。東京都が不正受給として返還を求めた公費が、実際にどこまで回収できるのかは不透明な状況です。

「返還請求」と「実際の回収」は別の問題

行政が補助金の返還を請求しても、法人側に返還原資となる財産がなければ、請求した金額の全額を回収できない可能性があります。

今回も、東京都が約3800万円の返還を請求している一方、法人は破産手続きに入り解散しており、税金として支出された補助金がどのように回収されるのかが大きな焦点となっています。

解散後も実質的な後継団体が同様の事業を継続

今回、さらに注目されるのが、「再チャレンジ東京」が解散した後の事業の扱いです。

報道によると、同法人が解散した後も、実質的な後継団体が同様の事業を続けているとされています。

後継団体の事業継続と不正受給問題は分けて確認する必要

ただし、実質的な後継団体が存在するという事実だけで、その団体自体に今回の不正受給と同じ責任や違法性があると断定することはできません。

一方で、旧法人の解散後に同様の事業がどのような団体によって、どのような体制で引き継がれているのかは、公費が関わる事業である以上、今後も確認が必要な点といえます。

東京都は抜き打ち現地確認など再発防止へ

東京都は今回の問題を受け、補助事業の現地確認を抜き打ちで実施するなど、再発防止を徹底する方針を示しています。

また、東京都は警察にも相談しているとしています。今後、捜査機関による対応や補助金の回収状況に進展があるかどうかも注目されます。

問われるのは補助金の審査と継続的な確認

今回のケースでは、長期間にわたる虚偽申請や実績の水増しが指摘されています。申請時の書類審査だけでなく、事業が実際に行われているかを継続的に確認する仕組みの重要性が浮き彫りになりました。

約3800万円の返還請求、法人の破産手続き開始と解散、さらに実質的な後継団体による事業継続という複数の問題が重なっている今回の事案。東京都が不正受給とされた補助金をどこまで回収できるのか、また再発防止策が実効性のあるものとなるのか、今後の対応が問われています。

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